きこりの店 舘岩日記

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月田農園に行ってきました。

先日、南会津町南郷地区の「月田農園」に行ってきました。
月田農園は、栽培不可能と言われた絶滅危惧種のヒメサユリ栽培に、
50年かけて成功するなど
様々な珍しい取り組みをしていて、数々の農林業雑誌等に掲載されているので
県内外で有名です。
そして農園主の月田禮次郎さんは動植物のことにかなり詳しい方です。
今回は、「きこりの店通信」の「木と木の仕事の話」というコーナーで月田さんをインタビューさせていただくために
お伺いしました。
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国道から入った細い道を車で5分程度走ると、山の中に広く開墾された農園がありました。


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農園の中にはいくつか建物があり、その中の一つでお話を聞かせていただきました。


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セン(ハリギリ)の床材。珍しいですね。反らないように、いろいろな幅で貼ってあるようです。
センは広葉樹の中では比較的育ちがいいため、樹齢40年くらいで、
伐採され、階段板などに使われていたそうです。


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建物は、ほとんどが月田さんが植林した木を間伐した間伐材でできているそうです。


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いろりは、百合の花の形のイメージと、みんなで楽しくお酒を呑んで囲めるように、六角形にしてあるそうです。
框はミズメ。

インタビューでは、月田さんと木の関わりを中心にお話をお聞きしました。
その内容はこちら




このブログでは、きこりの店通信に掲載しきれなかった部分を中心にご紹介したいと思います。

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月田さんの後ろにある座卓は、月田さんのおじいさんが、十三参り(十三歳になると、柳津にお参りに行くこと)の時に記念に、おじいさんのおじいさんと一緒に植えた木を加工したものだそうです!
すごい。
「木を財産として受け継ぐ感覚」が、知識として昔はそうだったと知っていても
実際にお話を聞くと、とても新鮮に感じられました。

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月田さんは、前述のように栽培不可能と言われた
ヒメサユリの栽培に50年かけて成功されたのですが、
ヒメサユリは昔はもっと野生でたくさん生えていました。
しかし、他の動植物と同じように、環境の変化によって
現在は絶滅危惧種になってしまっているのですが、
その環境の変化には「人が山を利用することが減った」ことも関係しているのです。
というのは、ヒメサユリは光をたくさん必要とする植物なのですが、
生活の中で萱を刈ったり、木を伐ったり、焼畑をしたりしたそのあとに、
光がたくさん入って、咲いていたというサイクルがあったそうです。
それが今はそうやって山の資源を利用することが少なくなったことや、
車がたくさん入ってきたことで、激減したということでした。
だから、今、ヒメサユリが生えてくるのは岩場や尾根筋など、木が生えにくい
(=光が当たりすい)ところが多いそうです。


これ、何かわかりますか?
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実はこれ、お香台なんです。
桂の木の葉っぱを挽いて、粉にしたものに火をつけてお香にしているのです。
梅雨が終わったくらいの時期の晴れた日に桂の木の葉っぱをとってきて、
一日干して、乾かしたものを「クボ臼」という臼で挽いて粉にします。
それに火をつけて、この香台に入れて火をつけると大体2時間くらい焚けるそうです。
(だから桂の木を「コウの木」とか「センコウの木」とか呼ぶこともあるそうです)
これは、かなり珍しい形のお香で、地元でも知っている人と知らない人がいるそうです。
菅家さんという郷土文化に詳しい方が調べたところ、
この地にかつていた豪族「河原田家」の勢力の範囲内に伝わっているそうです。
だから同じ南郷地区でもそのお香台を使っていたところと全く知らないところとあるそうで・・・。
なんだかロマンを感じます!
そのクボ臼も、今では使っているところも少ないようです。
そしてその杵は「オノオレカンバ」で作られていたようです。
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ちなみに、桂の葉のお香は清々しくてとてもいい香りがしました。
全く煙ったくないです。
そして弊社社長は生まれも育ちも南会津ですが
このお香も、クボ臼も、全然知らなかったようで・・・。
やはり会津は広くて文化圏も多種類です!


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そしてこれが、例の「アルプホルン」です。
動画はこちら↓

長い、そして薄い。
なんと、5mm薄さまで削るそうです。
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お話をお聞きした部屋には、アルプホルンの他、
たくさんの帯鋸や、いろいろな哺乳類の骨や、蝶々の標本などが飾られていて
月田さんの興味の広さを感じました。
また、関東の子供たちの自然体験学習などの受け入れも
これまでに多数されてきたようで、
子ども達からのお礼の寄せ書きなどもたくさん飾られていました。
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↑子どもたちが遊んだブランコなど。


純粋な好奇心が強く、周りにたくさん人が集まってくる月田さん。
素敵です。
そんな月田さんに、これからのビジョンをお聞きしました。

「これからは、もっと林業に足場をおきながら
山の恵みを活かした農業に活かしてやっていきたい。
山にはまだまだ、多彩な資源がある。
それをうまく組み合わせて、活かしていければ、農業も続けていけるのではないかと考えている」
とのことでした。

月田農園は、山を開墾して作られているので、木々と農作物が一緒に生きています。
前述のヒメサユリにも、光が当たるように木は間伐されていて
その光の入り具合がとてもきれいです。
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歩いているだけですごく気持ちがいい。
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農園の中に、一本の赤松の木がありました。
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赤松は常緑なので、鳥が敵に見つからないように休んだり、
糞をしたりできるのですが、
そこから、ナナカマドやコシアブラが芽を出すそうです。
(鳥が食べたなかにそれらの実が入っている)
それは、他の木ではあまりないことだそうです。

そういうつながりを意識することが、
山の恵みを活かすということなのでしょう。

また、月田さんはこの地域の先祖たちが
そうやって山の恵み、自然の恵みを活かして大事にしてきたからこそ
今まで生きてこれた、ということも強調していました。
都会に生きなくても、この地域の中で豊かな暮らしをしてこれた。
田舎に「ないもの」に目を向けがちな私ですが、
月田さんの生活は、本当に実がつまっていて、多くの人にもその豊かさを届けているように感じ、
はっとする思いでした。

やっぱり南会津、奥会津ってすごいなーーー!
月田さん、ありがとうございました!!

***2014.7.18追記****
月田農園では、現在花の収穫のアルバイトを募集しているそうです。
時間は朝5時~8時
時期は大体9月上旬まで(状況にもよります)
ご興味のある方、ご連絡ください。
by kikorinomise | 2014-07-14 22:54 | 南会津の自然 | Comments(0)